はじめに

かつて、文明発祥の地も水のあるところに栄えたように、水と人々の生活とは、長年にわたり密接な関係にあり、治水・利水対策については、遠い昔から取り組みがなされてきました。

とりわけ、地下水にあっては、いかに汲み上げるかという地下水の利用技術の研究に始まり、近年では、過剰汲み上げによる地下水量の減少に対し、いかに保全するかという思想のもとに、地下水の汲み上げを抑制する法的規制が行われてきました。

長岡京市においても、地下水に恵まれ、市民の生活用水として、また、企業の工業用水として利用されてきました。しかし、地下水の利用が増すにつれて、水位低下を生じ、将来枯渇するのではないかと危惧されておりました。そこで、昭和57年10月に財団法人長岡京水資源対策基金を設立し、有限の資源である地下水を将来にわたり長く利用していくため、その保全と適正な活用について、広く市民や企業の関心を深め、地下水を公水と認識する環境づくりに努めてまいりました。

平成12年秋には、長岡京市において水資源の安定を目指して取り組まれてきました表流水導入事業が完成し、積み立ててきました基金を活用する時期を迎え、表流水導入事業に対して資金援助しました。その結果、基金設立時の目的の一つであります「表流水導入事業に対する援助資金の積立事業」が、その使命を達成することとなり、当基金といたしましても、将来における水資源の安定確保のための一役を担うことができたものと思っております。

しかしながら、永遠のテーマであります地下水保全のための施策は、引き続き調査研究を重ね、これまでの水資源としての地下水の観点に加え、環境構成要素として認識し、地下水保全の方策を検討し、みなさまとともに積極的に展開していく必要があると考えておりますので、今後とも、より一層のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

平成16年9月

公益財団法人 長岡京水資源対策基金